胃腸炎(冷えによる)

2016年12月に経絡治療学会関東支部で胃腸炎に対する鍼治療について講義致しました。ここでは胃腸炎はどのようになるのか東洋医学的に説明します。

胃腸炎(ノロウイルス・ウイルス性胃腸炎等)

胃腸炎は、例年ですと12月頃から流行ります。12月は空気が秋から冬に変わり、寒さが一段と厳しくなる時期です。
2016年は例年と違い9月下旬と11月下旬にも増えました。なぜかと言いますと、気温が急に下がったからです。11月23日だったと思いますが、珍しく東京でも雪が降りました。そこから考えても分かる通り冷えが大きく関係します。

東洋医学的に寒邪(冷え)がどのように進行していくか、症状を6段階に分けていきます。

①太陽病:悪寒、首から腰背部のこわばり、小便が近くなる、おならがよく出る等
この太陽病が葛根湯を服用するタイミングです。恐らくこのタイミングで葛根湯を服用する人はほとんどいないでしょう。ここで葛根湯を服用するととても良く効きます。

②陽明病:発熱、腹痛、腹満等 中には便秘する人もいます。

③少陽病:吐き気、食欲低下、食欲旺盛、めまい、咽乾(からえずき)等
ここまでは発汗すると治りやすいです。方法は運動でもサウナ等でも構いません。。

④太陰病:下痢・嘔吐等
多くの人がこの時に病院に行くと思います。

⑤少陰病:悪寒・四肢の冷え・水様の下痢等

⑥厥陰病:下痢・嘔吐・食中毒等

これが素問 熱論篇に書かれている寒邪(冷え)の進行順序です。
寒邪の進行速度は、色々な原因により変わります。早いと1時間程度で、遅いと数日をかけて。例えば、強いウイルスや素因として胃腸が元々弱い人などは症状が早く出るでしょう。寒邪が身体に入ってきても抵抗力の強い人や身体を温めたりして寒邪を知らずに退治している人もいます。

ウイルス等に接することなく暮らす可能性は限りなくゼロに近いです。
寒邪等が体内に入ってきたら早い段階で適切な方法で治療するのが一番です。運動でも、葛根湯でも、鍼でも何でもいいです。下痢と嘔吐は本当に辛いです。少しここで書いたことを意識の片隅にでも入れといてください。役に立ちます。

2017年01月17日